テイラー展開

 

有界な数列:

数列が上に有界であるとは、ある実数があって、すべてのに対して、となることである。

 

調和級数:の収束発散

 

調和級数の部分和をとすると、

 

 

よって、調和級数の部分和とすると、発散してしまうので、調和級数は発散する。

 

正項級数:

各項が負でない級数を正項級数という。正項級数の部分和の数列は単調増加であるから、上に有界ならば収束する。

逆に収束する正項級数は上に有界である。

 

ダランベールの判定法:

正項級数について、が存在するとき、

              ならばは収束する。

              ならばは発散する。

証明)

のとき、が存在するので、適当なをとれば、

             

であるので、十分大きなにおいては、

             

となるようなが存在するので、あるに対して、

             

よって、この両辺にをかけて変形すると、

となり、

             

が成り立つ。これはすなわち、第項目は項目にをかけたものよりも小さいということを示している。

つまり、右辺が公比の等比数列で、正洪級数

 

両辺の無限級数を取ると、

             

見やすく変形して、

             

となり、右辺が収束するので左辺の無限級数も収束する。

よって、元々の正項級数、

             

となり、右辺第1項が定数、第2項が収束するので正項級数は収束する。

 

例6.4 

の収束判定

ダランベールの判定法より、

よって、は収束する。

 

正直にやれば、よって、であるが、これは十分大きなにおいて、適当なに対して、

             

となる。よって、

             

 

さらに、両辺にをかけて変形すると、

             

 

となるが、これはよく見ると、

             

 

となっており、第項目は項目にをかけたものよりも小さいということを示している。

よって、正項級数項目以降は収束するといえるので、全体も収束するといえる。

 

べき級数:

関数列を各項とする級数に対しても、その部分和

             

 

が定義でき、その極限和、

             

 

が収束するとき、級数は収束し和はであるという。

 

応用上重要なべき級数は、のべきで与えられる、

 

             

 

という形のもので、べき級数または整級数とよぶ。

 

6.5

は収束するかどうか調べ、収束する場合はその和を求めよ。

 

解)

として、

             

となるので、

             

 

関数の近似:

多項式の近似を考える。

 

0.01のとき、

              1.030301

              1.03

となり、その誤差は、

              0.000301

 

と非常に小さい。同様にが正の整数の場合、

で近似ができる。では、が負の整数の場合どうなるであろう。

 

n=-1を考えよう。

             

これは、例6.5のケースでと置いたケース(ただし、)であり、近似式は、

             

 

ゆえに

             

 

よって、2次の項までの近似式は、

             

 

となる。実際、0.01のとき、

              0.99009901

0.9901

 

と精度は良い。

 

さて、n=-1の場合はたまたまの結果が応用できたが、それ以外の場合(例えばn=-2)はどう考えればよいのか。

一般に、べき級数

 

             

 

の未知係数とその導関数でどう表現できるかを考えよう。

(ただし、の近辺で必要なだけ微分可能としよう)

まず、当たり前であるが、

 

             

 

である。では1回微分しよう。

             

となる。よって、

             

 

もわかった。では2回微分では、

             

となり、

             

以下同様に、3回微分では

             

             

n回微分では、

             

             

となる。よって、各は、

             

となり、べき級数は、

             

となることが予想される。

 

6.7

関数に対してn次までの近似式を求めよ

ただし、とする。

 

より、

となる。ところで、このようにして得られた近似式は確かに妥当であるか?n+1次以上の項について、

             

を調べてみよう。この誤差は展開式の余りの項ということで、剰余項とも呼ばれる。

ところで、この級数の部分和を

             

とおくと、これは

             

と書けるので、これより剰余項は、

             

と書ける。よって、これはの極限をとると、

             

となる。よって、では剰余項が発散してしまい、近似式が意味を持たなくなる。

言い換えれば、この近似式はでのみ妥当である。なお、このようなの値の境目(この場合は)を収束半径とも呼ぶ。

 

テイラーの公式:

関数のまわりで定義されていて、何回でも微分できるものとする。

微積分の基本定理より、

             

より、

             

右辺の第2項(積分の項)のと見なして、部分積分を施すと、

             

同様にもう一度部分積分を施すと、

             

同様にn階部分積分を施すと、

             

これをテイラーの公式という。

 

なお、剰余項の部分、

             

は、n+1階導関数が連続の場合は、以下の形でも書くことが出来る。

             

 

x>0の場合を示す。閉区間において、の取り得る最大値を、最小値をとおく。

は連続なので、

             

である。さて、の両辺にをかけてで積分すると、

             

となるが、これは

             

と変形でき、さらに、

             

とまで持っていける。

 

一方、適当なをとれば、閉区間において、

             

を満たすが少なくとも一つ存在する。よって、閉区間において適当なをとれば、

を満たすが存在する。さて、この式を変形して、

             

を得る。これを剰余項の式に代入すると、

             

 

が得られる。

 

テイラー展開:

剰余項の極限で0となるとき、テイラーの公式は、

             

と書けて、その級数は収束する。これをテイラー展開という。このように

 

テイラー展開を用いて多項式(ただしは任意の実数)をべき級数に展開してみよう。

             

             

             

             

             

             

             

より、

             

ただし、

もしくは、

             

ところで、

             

とおくと、

となる。なぜならば、

             

であり、の範囲では、係数の分母分子が相殺して、

             

となって、分母分子ともに高々個の数字の積でしかない。すなわち係数は有限である。

よって、の収束はの収束如何により、のとき、

となる。

以上より、は、

             

と展開できることがわかる。

 

この結果より、関数は、

             

という形でも表現できる。各項の係数、

             

を一般の2項係数という。